2020.04.28

お知らせ

自分が起業(創業)しよう!と思った時が良いタイミングです。

今、起業(創業)したい!と思ったのなら、今がベストタイミングです。

でも、たった1つだけ考えてください。

今、あなたの目の前に、あなたと同じ業種を希望している方が来て、「今、起業(創業)したいのです!起業(創業)した方が良いでしょうか?」と相談者が現れた時、あなたはどう答えますか?

私と同じように答えますか?

起業(創業)したい!という「想い」と起業(創業)して良いのか?という「現実」の両方を冷静に考えない限り、事業はうまくいきません。

「想い」だけで、起業(創業)はうまくいきますが、事業はうまくいかないのです。

それは、起業(創業)は一瞬で、事業は継続だからです。

現実が付いてこない「想い」だけで突っ走る事は、自分のみならず、周りに不要な苦労をかける事になります。

「きっと、うまくいくはずだ」「きっと、うまくいくだろう」「きっと、うまくいってほしい」、どれも「現実」がついてきていない「想い」に過ぎません。

「想い」だけでは、「現実」は付いてこないのです。

それでも、あなたは、目の前の相談者に「今、起業(創業)した方が良い!」と言えますか?

お伝えしたいのは、「自分の目線」だけではなく、「客観的に自分を見た目線」も持って、起業(創業)について冷静に考えてほしい、という事です。

「自分の目線」にこだわり、「客観的に自分を見た目線」を持たないのは、航海図も持たずに出港する小型船のようなものです。

ワンピースのルフィも最初は航海図もなく出向していました。ルフィは悪魔の実の能力者だから、特殊な人間ですよね(笑)

でも、私達は普通の人間です。航海図も持たずに出港すれば、水、食料がすぐになくなります。目の前に水があるのに、飲めないという状況です。我慢できずに海水を飲んでしまうと、余計に体の水分が抜けて、喉が渇くという悪循環に陥ります。

私達でいえば、想いだけで起業(創業)して、すぐにお金がなくなったとします。お金がなくなるという事は、事業が軌道に乗っていないので、普通の金融機関はお金を貸してくれません。そうすると、クレジットカードに目がいきます。日本政策金融公庫であれば、1%~2%台の金利が3%~18%という金利になります。すぐに返せるなら、そもそも借りません。そのため、次のカードローンを考えないといけない事になります。

カードローンそのものが悪いわけではないのです。使うべき時を見極めて使ってほしいのです。お金を用意する選択肢がなくなって、カードローンを借りるのは、使うべき時を見極めていない時なので、使ってはいけません。

一度、スタートしてしまったら、後戻りができないのです。起業(創業)前に「想い」と「現実」をしっかりと考えてください。

せっかくの起業(創業)前に、お金が苦しくなる話をするのは、やる気をなくして気分が悪い!と思われるかもしれません。

その通りかもしれません。

もし、私達が私達の数字のためだけに創業融資を支援するのであれば、あなたのやる気を煽るだけ煽って、夢を膨らませるだけ膨らませて、多額の借入をさせて、手数料を多額にもらって、後は知らないという仕事をすると思います。

しかし、私達は税理士として、たくさんの起業(創業)される方も見てきました。そして、廃業される方もたくさん見てきました。廃業という形ではなく、突然いなくなる方もいらっしゃいました。その中でも、スムーズに、キレイに廃業された方々がいらっしゃいます。そのような方の特徴は、「想い」です。お客様に迷惑をかけない、周りの取引先に迷惑をかけない、家族に心配させない、という「想い」がある場合、スムーズに廃業されています。

「数字」だけではなく、「人」を見る事が大事だと実感しました。

そのため、私達は「いくら」で起業(創業)されるか、ではなく、「どのような方」が起業(創業)されるかを大切にしています。「人」にフォーカスするので、やはり、失敗してほしくないです。

大変おこがましいですが、ケガをして苦しんだ事のある先輩が、元気な後輩に伝えるようなものだと思ってもらえると嬉しいです。

大変恥ずかしい話ですが、私自身も起業(創業)の時、何も考えていませんでした。とてもよくしていただいた税理士事務所に勤めていて、将来的な話になった時に、別の道を歩む事を何も考えずに伝えてしまいました。まだ若かったのです。自分勝手に方向性が違うと思い込み、別の道を歩む事を決めました。所長先生をはじめ皆さんが受け止めてくれたので、時間はかかりましたが、無事に別の道を歩み始めました。

しかし、起業(創業)した月に、リーマンショックがありました。経済が止まり、仕事もピッタリと止まりました。机とイスとコピー機しかない自分の事務所から、気持ちだけ焦っているけど、何もやる事がない状態で見上げつづけた秋の青い空は今でも忘れません。

自分がどれだけの「想い」があっても、「現実」が逆風になる事があるのです。だからこそ、「客観的に自分を見た目線」を持ってほしいのです。熱い「想い」をもって「現実」を踏まえた客観的な判断をすることが起業(創業)を成功させるコツです。

私達は、創業融資のサポートを支援する時に、起業(創業)される方がより良い人生を歩んでいただけるようになってほしいという「想い」を込めています。私達が体験した事や私達が廃業される方々をみて感じた事は、できるだけ体験しない方が良いのです。だからこそ、「想い」と「現実」の両方を冷静に考えていただく事をお願いしています。

心にとめておいてほしいことがあります。それは、自分がなさりたい「想い」を創業しやすいとか、融資が受けやすいとかという理由で、変えないでください。これまで培ってきた「現実」を融資額を増やしたいからという理由で「見せ金」等を使って変えないでください。

日本政策金融公庫の担当者の方をはじめ、金融機関の方々からすれば、たくさんの起業(創業)される方とお会いしているのですから、ハッキリと分かってしまいます。

「想い」や「現実」を都合よく変えようとするほど、後で歪みになって、現実になって現れます。人間の身体の歪みがいずれ、どこかの痛みになるのと同じことです。後で精算させられる事が起きてくるものなのです。地球温暖化による異常気象等と同じなのかもしれません。

私達と関わっていただく事で、元気に活躍し続ける起業(創業)者を増やす事が私達の「想い」です。歪みを減らして、元気に活躍し続けるあなたを応援します!

一番最初のコラムで、私達の「想い」を伝えさせていただきました。長い文章を読んでいただき、本当にありがとうございます。これからは、「現実」を踏まえて、皆さんにお役に立つ情報を積極的に発信していきます。どうぞよろしくお願い致します。